気づくことで変わる？気づきの力

エゴというものは皆、多かれ少なかれ、私たちが呼ぶところの「被害者意識」という要素を含んでいるものです。なかには、「私は被害者」の自己イメージが強烈なあまり、それがエゴの中心核となっている人もいます。そのような人たちの自己観の根幹部分は、恨みや苦悩によって形成されているのです。

たとえあなたに、不満を抱くに至る「正当な」理由があったとしても、自分でアイデンティティーをこしらえたことに変わりはなく、それはいわば、自分を観念と言う牢獄に閉じ込めるのと一緒です。自分が自分にどんな結果をもたらしているか、より正確に言うなら、自分の思考が自分にどんな結果をもたらしているかを観察してみて下さい。「犠牲者話」に対して持っている執着心と、その思い出に浸らずにはいられない、その思い出を語らずにはいられない、脅迫的な傾向に気づいてください。自分の心の状態を「観察する人」になってください。取り立てて何も「する」必要はありません。「気づく」だけで充分です。気づきによって、変容と自由がやってくるのですから。

エックハルト･トール
「世界でいちばん古くて大切なスピリチュアルな教え」より